[更新]宇都宮南1(T-8号) [宇都宮消防更新車両情報]
ご無沙汰してしまっています。
(注意:最初に言っておきますが、今回は長文です。時間のない方は写真だけでも眺めてってください。)
去年は今と同じ時期の車両更新記事以来、終ぞ訓練レポも書かず、さて今年の春防火のシーズンこそは、と意気込んでいたところ例の新型感染症がらみで車両火災対応訓練の予定が全滅。なんとか一刻も早くこの騒ぎが落ち着いて通常通りの世の中になってほしいものです。。。
さて、そうこうしているうちにまた今年も車両更新のシーズンとなってしまいました。
実は救急車なんか昨年末にはもう既に納車されていたりします。こちらに関してはまた後ほど。
いわゆる働き方改革というやつでしょうか、公告等を見ていても今年度は全国的に入札時期が早かったように思います。
全国的に令和最初の、ということもあって(←これはタイミング的にたまたまでしょう)気合の入った仕様の車両が多いように見受けられますが、こちらも“新たな時代”を感じさせる車両が地元・宇都宮消防に登場しました。
宇都宮市南消防署のタンク車、南1(T-8号)です。
<スペック>
シャシ 日野レンジャー(GX2AB 増トン)
艤装 ネイチャー
車種 災害対応特殊水槽付消防ポンプ自動車Ⅱ型
ポンプ A-2級・高圧2段バランスタービン(メカニカルシール)
水槽 ステンレス製角型水槽・2000L
その他 吸管双方向サイドプル・電動巻取装置
照明装置(ナイトスキャンNEXT90W×4灯)、梯子自動昇降装置(SSA-Ⅱ)、
隊長席呼吸器内蔵一体型シート、大型資機材ボックス、加納式ホースカー(6本用)、
ホースカー電動油圧式旋回式昇降装置(極東工業製ST150)、
新型赤色点滅灯・作業灯(大阪サイレン・LFA/LIA/LFIAシリーズ)、
新型電子サイレンアンプ(大阪サイレン・TSK-D152Y)
新型高輝度LEDサーチライト
自衛噴霧装置
シャシは安定の日野レンジャーGX(4WD・MT・11.99t)をベースに、艤装はここ最近おなじみの地元宇都宮の消防車メーカー・ネイチャー。
NIKKIと造機を足して割ったようなかんじで、個人的に好みです。
ストレートデザインが効いていて、同じ署にある南救助1や南梯子1との並びが楽しみなところです。
主警光灯に大阪サイレンのスーパーネオフラッシュ・回転灯点滅灯ハイブリッドモデルのLLサイズを冠し、側面に補助点滅灯・作業灯一体型のLFIA-300を配するのは富屋1(H29年度)以降定番化。
(最近の流行には疎いのですが、最近の若い子的なトピックとして、)電子サイレンアンプはTSK-D152Y。こちらも富屋1以降定番化しています。
外観的にはパっと見、前年度の車両よりリアオーバーハングの長さが抑えられている印象です。
ところでシャッターが従来のダブルハンドル式シャッターから、バーハンドル式になっています。バーシャッター自体が市内初となります。
バーシャッターは複数社で取り扱いがありますが、こちらは大阪サイレンから(前作からの改善点を盛り込み)満を持して登場した新型・車両用アルミシャッター「SH-33B」が採用されています。
同社の従来製品に比べ、剛性が増しており、バーハンドルのどの位置から操作してもバーロックを解除する力が確実に伝わるようになったそうです。さらにシャッターを下げ切って閉め込む際の力を加えるための押下庇がシャッター幅のほぼ全域にあり、またシャッター自体の剛性アップによる一体感もあることから、左右位置のどの部分で押下庇を操作しても、シャッターを気持ち良く閉め切ることが出来ます。
(余談ですがこの点私自身も前回の国際消防防災展のメーカーブースで体験し、なるほどと思いました。)
また、シャッター庫内灯がライン状のLED灯になっており、明るさや照射範囲が格段に向上しているようでした。
それからこれは同じ市内の同好の士・中央救助1氏の受け売りになりますが・・・
――― 側面の「UTSUNOMIYA FIRE」のウィングマーキングの大きさや配置バランスについて
・ジーエム製はアーチが弱めで上下段の間に比較的広くスペースがあったり、
・ネイチャー製は車体の大きさに対してマーキング全体の大きさが比較的小さめ、
といったようなメーカーごとのある種の“クセ”がありました。(しかしこういったところまでいつも見ておられるのはさすがです。)
今回はなかなか全体のバランスがとれた大きさ・配置になったように思います。聞くと、今回この車両に合わせイチから見直され、最適化されたそうです。
そしてシャッターの大きさ割りあても変わっていますね。以前はこんなかんじでした。
以前は 前中後 の順に 小-小-大 となっていましたが、今回は 大-小-小 となっています。
(その理由はこのちょっとあとに)
車上は大型収納ボックス、照明塔装置(佐藤工業所製 ナイトスキャンチーフLED 90W×4灯)、三連梯子電動昇降装置(同 SSA-Ⅱ)と、以前と変わりませんが、配置に若干の変更が加えられています。
先ほどのシャッターの大きさ順の変更の解となりますが、シャッターを開ければ今までと大きく違う点が分かります。
まずは側面後方のシャッター内。今まで吸管巻があった部分にパンチングメタルプレートを使った横開きの扉展開式収納となっていることが分かります。
手前に消火栓開閉器具類やスタンドパイプなどが取り付けられ、そのプレート開けた奥の収納庫壁面には管そう、フォグガン、低水位ストレーナーや消火器などが取り付けられています。
これにより、こまごまとした資機材がすべて壁面に取り付けられているため、資機材使用時にはパッと取り出すことが出来る、といったメリットに繋がっているようです。
ちなみにこの反対側には落下防止柵つきの棚となっており、様々なものを収納できるようになっていました。(このあたりは吸管ポンプ室内巻きの東化学1や清原化学1同様)(←ここ撮り忘れました)
さて、今回特に目玉となるのがポンプ室に見える吸管巻取装置。
ポンプ室のすぐうしろに吸管左右双方向引出式・電動巻取装置(リール部は長野ポンプ製)を新たに装備。(いわゆる、吸管サイドプル装置)
吸管サイドプル・電動巻取装置については
・1本の吸管を名前の通り車体の左右のどちらの側面からでも引き出して使用できる
・使用する際には吸管の先を持つ→水源や消火栓の方へ引っ張り出すだけで展開できる
・吸管を収納する際は、電動の巻取り装置によって巻き戻すことができる
といったかたちになります。
つまりこれは従来より省力化を主眼とした仕様変更と見ることができるでしょう。
長らく宇都宮消防のタンク車は吸管後ろ巻き(下の写真参考↓)
でしたが、センター巻取りにしたことで、
・従来の吸管取付スペース(車体左右両側面後方)を資機材収納スペース等に利用できる
・吸水導管が縮長され、ポンプ揚水時間・配管ドレン時間の短縮
という、いわば副次的な利点も得られるそうです。
今まで長く続いてきたことが大きく変わる(変える)ことには困難や労苦もあるでしょう。
しかし新たな時代、街づくりやそれに伴うリスクや災害のカタチも変わる中で、時代に合わせたより良い車両づくりをしたいという消防の熱意があってこそ、ここにひとつのカタチとして完成されたことと推察するに難くありません。
(様々な形でご尽力されたであろう担当課の方に敬意の念を表します。)
最後に一市民としてではありますが、今後現場のプロフェッショナルの手により効果的に南1の持てる能力が如何なく発揮され、市民の生命と財産を守る大切な存在となることを心から願ってやみません。
注:本稿における内容はあくまですべて当方の趣味の範疇における個人的な見解であり、公的な認識・意図・目的とは大きく異なる場合があります。本記事に関する当該消防様へのお問い合わせ等はご遠慮願います。
(注意:最初に言っておきますが、今回は長文です。時間のない方は写真だけでも眺めてってください。)
去年は今と同じ時期の車両更新記事以来、終ぞ訓練レポも書かず、さて今年の春防火のシーズンこそは、と意気込んでいたところ例の新型感染症がらみで車両火災対応訓練の予定が全滅。なんとか一刻も早くこの騒ぎが落ち着いて通常通りの世の中になってほしいものです。。。
さて、そうこうしているうちにまた今年も車両更新のシーズンとなってしまいました。
実は救急車なんか昨年末にはもう既に納車されていたりします。こちらに関してはまた後ほど。
いわゆる働き方改革というやつでしょうか、公告等を見ていても今年度は全国的に入札時期が早かったように思います。
全国的に令和最初の、ということもあって(←これはタイミング的にたまたまでしょう)気合の入った仕様の車両が多いように見受けられますが、こちらも“新たな時代”を感じさせる車両が地元・宇都宮消防に登場しました。
宇都宮市南消防署のタンク車、南1(T-8号)です。
<スペック>
シャシ 日野レンジャー(GX2AB 増トン)
艤装 ネイチャー
車種 災害対応特殊水槽付消防ポンプ自動車Ⅱ型
ポンプ A-2級・高圧2段バランスタービン(メカニカルシール)
水槽 ステンレス製角型水槽・2000L
その他 吸管双方向サイドプル・電動巻取装置
照明装置(ナイトスキャンNEXT90W×4灯)、梯子自動昇降装置(SSA-Ⅱ)、
隊長席呼吸器内蔵一体型シート、大型資機材ボックス、加納式ホースカー(6本用)、
ホースカー電動油圧式旋回式昇降装置(極東工業製ST150)、
新型赤色点滅灯・作業灯(大阪サイレン・LFA/LIA/LFIAシリーズ)、
新型電子サイレンアンプ(大阪サイレン・TSK-D152Y)
新型高輝度LEDサーチライト
自衛噴霧装置
シャシは安定の日野レンジャーGX(4WD・MT・11.99t)をベースに、艤装はここ最近おなじみの地元宇都宮の消防車メーカー・ネイチャー。
NIKKIと造機を足して割ったようなかんじで、個人的に好みです。
ストレートデザインが効いていて、同じ署にある南救助1や南梯子1との並びが楽しみなところです。
主警光灯に大阪サイレンのスーパーネオフラッシュ・回転灯点滅灯ハイブリッドモデルのLLサイズを冠し、側面に補助点滅灯・作業灯一体型のLFIA-300を配するのは富屋1(H29年度)以降定番化。
(最近の流行には疎いのですが、最近の若い子的なトピックとして、)電子サイレンアンプはTSK-D152Y。こちらも富屋1以降定番化しています。
外観的にはパっと見、前年度の車両よりリアオーバーハングの長さが抑えられている印象です。
ところでシャッターが従来のダブルハンドル式シャッターから、バーハンドル式になっています。バーシャッター自体が市内初となります。
バーシャッターは複数社で取り扱いがありますが、こちらは大阪サイレンから(前作からの改善点を盛り込み)満を持して登場した新型・車両用アルミシャッター「SH-33B」が採用されています。
同社の従来製品に比べ、剛性が増しており、バーハンドルのどの位置から操作してもバーロックを解除する力が確実に伝わるようになったそうです。さらにシャッターを下げ切って閉め込む際の力を加えるための押下庇がシャッター幅のほぼ全域にあり、またシャッター自体の剛性アップによる一体感もあることから、左右位置のどの部分で押下庇を操作しても、シャッターを気持ち良く閉め切ることが出来ます。
(余談ですがこの点私自身も前回の国際消防防災展のメーカーブースで体験し、なるほどと思いました。)
また、シャッター庫内灯がライン状のLED灯になっており、明るさや照射範囲が格段に向上しているようでした。
それからこれは同じ市内の同好の士・中央救助1氏の受け売りになりますが・・・
――― 側面の「UTSUNOMIYA FIRE」のウィングマーキングの大きさや配置バランスについて
・ジーエム製はアーチが弱めで上下段の間に比較的広くスペースがあったり、
・ネイチャー製は車体の大きさに対してマーキング全体の大きさが比較的小さめ、
といったようなメーカーごとのある種の“クセ”がありました。(しかしこういったところまでいつも見ておられるのはさすがです。)
今回はなかなか全体のバランスがとれた大きさ・配置になったように思います。聞くと、今回この車両に合わせイチから見直され、最適化されたそうです。
そしてシャッターの大きさ割りあても変わっていますね。以前はこんなかんじでした。
以前は 前中後 の順に 小-小-大 となっていましたが、今回は 大-小-小 となっています。
(その理由はこのちょっとあとに)
車上は大型収納ボックス、照明塔装置(佐藤工業所製 ナイトスキャンチーフLED 90W×4灯)、三連梯子電動昇降装置(同 SSA-Ⅱ)と、以前と変わりませんが、配置に若干の変更が加えられています。
先ほどのシャッターの大きさ順の変更の解となりますが、シャッターを開ければ今までと大きく違う点が分かります。
まずは側面後方のシャッター内。今まで吸管巻があった部分にパンチングメタルプレートを使った横開きの扉展開式収納となっていることが分かります。
手前に消火栓開閉器具類やスタンドパイプなどが取り付けられ、そのプレート開けた奥の収納庫壁面には管そう、フォグガン、低水位ストレーナーや消火器などが取り付けられています。
これにより、こまごまとした資機材がすべて壁面に取り付けられているため、資機材使用時にはパッと取り出すことが出来る、といったメリットに繋がっているようです。
ちなみにこの反対側には落下防止柵つきの棚となっており、様々なものを収納できるようになっていました。(このあたりは吸管ポンプ室内巻きの東化学1や清原化学1同様)(←
さて、今回特に目玉となるのがポンプ室に見える吸管巻取装置。
ポンプ室のすぐうしろに吸管左右双方向引出式・電動巻取装置(リール部は長野ポンプ製)を新たに装備。(いわゆる、吸管サイドプル装置)
吸管サイドプル・電動巻取装置については
・1本の吸管を名前の通り車体の左右のどちらの側面からでも引き出して使用できる
・使用する際には吸管の先を持つ→水源や消火栓の方へ引っ張り出すだけで展開できる
・吸管を収納する際は、電動の巻取り装置によって巻き戻すことができる
といったかたちになります。
つまりこれは従来より省力化を主眼とした仕様変更と見ることができるでしょう。
長らく宇都宮消防のタンク車は吸管後ろ巻き(下の写真参考↓)
でしたが、センター巻取りにしたことで、
・従来の吸管取付スペース(車体左右両側面後方)を資機材収納スペース等に利用できる
・吸水導管が縮長され、ポンプ揚水時間・配管ドレン時間の短縮
という、いわば副次的な利点も得られるそうです。
今まで長く続いてきたことが大きく変わる(変える)ことには困難や労苦もあるでしょう。
しかし新たな時代、街づくりやそれに伴うリスクや災害のカタチも変わる中で、時代に合わせたより良い車両づくりをしたいという消防の熱意があってこそ、ここにひとつのカタチとして完成されたことと推察するに難くありません。
(様々な形でご尽力されたであろう担当課の方に敬意の念を表します。)
最後に一市民としてではありますが、今後現場のプロフェッショナルの手により効果的に南1の持てる能力が如何なく発揮され、市民の生命と財産を守る大切な存在となることを心から願ってやみません。
注:本稿における内容はあくまですべて当方の趣味の範疇における個人的な見解であり、公的な認識・意図・目的とは大きく異なる場合があります。本記事に関する当該消防様へのお問い合わせ等はご遠慮願います。
2020-03-13 18:56
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